退屈な日本史の授業

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俺はマリオネットのように自分の意思とは無関係に槍を構えて竹子と稽古を続ける。二十分もすると息がゼエハアと上がり、 「それまで!今日はこのくらいにしておきましょう」 竹子に頬笑みかけると竹子は、 「ありがとうございます玉木さま。これからわたくしは日課の薙刀千回の稽古をいたしますゆえ失礼いたします」 一礼して竹子は道場の端の方で薙刀の素振りを始めた。たすきの間で胸がぷるんぷるん…。 「だから全年齢向けだと何度言えば…」 また見えざる声がする。俺は小声で天井の声に話しかける。 「あんた誰だよ一体?」 「うーん名乗るほどの者でもないけど、八百万の神というか唯一絶対神というか。この世界の命運握ってるキーパーソンってヤツよ」 「はあ?何その中二病こじらせた感じは?」 「まあ、ごちゃごちゃ言いなさんな。見てみー。あの中野竹子さんは、毎日千回ああやって薙刀の素振りしてるんやで。千回終わるまでは絶対に寝ない努力家なんよ」 「へぇー日本からアメリカに行ったメジャーリーガーみたい。女の子なのにスゲー」 「せやろ?毎日素振りしてるって野球選手みたいやろ?」 「なあ、あんたなんでメジャーリーガー知ってるんだ?『この』世界の神なんだろ、俺が元いた世界の人気野球選手なのに」 「チッチッチ、あんさんがタイムトラベルしただけで、世界はなんも変わってませんがな」 「タイムトラベル?」     
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