詩『一ポンドずつ』

2/2
0人が本棚に入れています
本棚に追加
/2ページ
僕らの心の真ん中は 一ポンドずつ削られて なんにも見えなくなっちゃった 痛くて何にも感じない。 痛みもマヒして感じない ドーナツみたいになっちゃった。 右の腕の内側は 一ポンドずつ毟られて 何にも見えなくなっちゃった 赤くて何にも分からない 傷がどれかも分からない 三日月みたいになっちゃった 削られた部分の塊は 一ポンドずつ測られて 何にも見えなくなっちゃった ぐちゃぐちゃ真っ赤に握られて ぽつんとそこに捨てられた おにぎりみたいになっちゃった マヒした心は痛くない マヒした腕も痛くない どんどん痺れて疼くだけ どんどん離れて消えるだけ ポカンと口をあけながら 悲しそうにみてるだけ どんどん削られていく心 ドーナツみたいになっていく どんどん毟られていく体 三日月みたいになっていく どんどん痺れて消えるだけ 結局何にも残らない 結局何の価値もない とってもそれが楽だから 夕日に染まる丘の上 ひとりぼっちでみんなを見てる。 離れて消える心と腕を 星座に浮かべて眺めてる。 残ったおにぎり食べている。 そんな僕らはいなくていい人。 いてもいなくてもどうでもいい人。 とっても楽だよ無駄な人。 僕らはどこにもいない人。 居場所もないから楽だけど さみしいどこにもいない人。 お迎えなんて来ないから、 ここでずっと遊んでいようね。 削れて毟れる塊は 痺れてなんだか気持ちがいい。 そんな僕らはとっても悲しい どこにもいなくていい人です。
/2ページ

最初のコメントを投稿しよう!