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衛兵隊長のソボロボッコなんて足の爪先までお父様に従順な仕事人間だから融通利かないし。
お父様の護衛獣はあたしが正式な魔女じゃないからって嘗めてかかるし。
城の者は皆揃ってお父様の味方なんだ。
まぁ……国王なんだから当たり前なんだけど。
とにかく、床に落ちたあたしの髪の毛一本まで労るようなお父様だから、
あたしが何も言わずに部屋を出た日にゃ、それはもう夜叉の如く面相で怒る。
恐かないけど、ネチネチくどくどとしつこい。
『レイちゃんは王女なんだから、誰かに目を付けられて万が一攫われたらどうするのさっ!』
ってさ。
このあたしが、目をつけられたとして、ホイホイと攫われてやるとでも思ってんのか。
そりゃ昨日はカイにホイホイと着いてったけど、それはあたし自身が興味あったからで。
攫って行くようにカイは強引だったけど、あたしは一応承諾したんだ。
誰にも言わなかったわけじゃなく誰にも言えなかった。
誰かに言い置く暇は与えて貰えなかったし、突然カイが現れて、驚いてもいたからどうしたらいいのか解らなかった。
混乱してたんだ。
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