俺様、魔王(親父)に勘当されたから無職になる

5/12
前へ
/12ページ
次へ
 さて、ドラゴンがたかが人族如きに遅れを取るとも思えん。何かしら裏があると見るべきか。 「よく見れば貴様魔族だな? この私を知らぬモグリが居たとは嘆かわしい。勇者の私を見ても恐れ戦かないのだからな」 「あん? 勇者だぁ。オークの間違いじゃないのか?」 「この無礼者が! 侮辱した事を後悔して死ぬが良い!!」  いきなり剣で斬り付けて来た。意外と速いな。けりど俺様の反射神経は、毎日魔王の親父を亡き者にする為の戦闘で研ぎ澄まされている。この程度避けるのは容易い。カウンターでアッパーカットをお見舞いした。 「ぐぼあ!」  結構吹っ飛び地面にめり込む。しかしなんか変な手応えだったな? 「ぐ、この俺に土をつけてタダで済まされると思うなよ?」 「お前何か仕込んでんな? 今ので立ち上がれるのは防御力的にあり得ん」 「当然だ。この鎧はあらゆる物理攻撃に対して、ダメージを軽減するのだ。更にこの剣は、ドラゴンキラー。ドラゴンに対して絶大な威力を誇る!」  あ、そんなカラクリだったか。だとしたらどうやって地上戦に持って行ったんだ? 「フライ」  試しに空中から仕掛けてみるか。 「馬鹿め、俺に空中戦は自殺行為だと解らせてやる!」 「何だ? 空がいきなり曇りだしたぞ」 「サンダーボルト!」 「ぐあ!」  雲から落雷が俺様に落ちた。対空魔法って訳かよ!  フライを解除して地面に足を着ける。俺様にダメージを与えるとは、勇者ってのも案外本当なのかもしれないな。 「ふはははは、地面を這いつくばるが良い! サンダーボルト!」 「うぜえ!」  来ると解ってる魔法なんざ怖くも何ともない。魔力を手に込めて魔法を弾く。 「は?」 「あ? 俺様が同じ魔法を喰らう訳ねぇだろが。今度はこっちからお見舞いしてやんよ」 「物理攻撃が効かないのは、さっきので解っているだろうが。無駄な足掻きを!」 「誰が物理っつったよ。魔法に決まってんだろーが!」 「くばあ!?」  奴の背後から俺様お得意の遅延魔法が炸裂。魔法無効化じゃなけりゃ、こんなもんよ。 「ぞ、んな。魔法耐性も付いているんだぞ・・・」 「は、俺様の魔法がその程度で減退するかよ。あばよ勇者」 「・・・」  どうやら既に絶命した様だ。鎧は魔法が貫通して使い物にならんな。剣だけ頂こう。俺様、何か肝心な事を忘れている気がする。 「ん? ああーー! ダンジョンで殺せばよかった! 配合モンスター!」  気付くの遅いぞ俺様! しかし、まだ一匹残っている。ドラゴンを転移させてから眼前に立つ。
/12ページ

最初のコメントを投稿しよう!

15人が本棚に入れています
本棚に追加