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俺様、魔王(親父)に勘当されたから無職になる
「死ねえええぇ!! 親父ぃ!!!」
「甘いわ、バカ息子が!!」
「グボァ!」
本日最初の暗殺が失敗し、見事返り討ちにあう俺様。
「実の父親であるこの魔王を、暗殺する息子が何処にいる!」
「ここに居るわボケェ!」
吹っ飛ばされた俺様、華麗に復活して啖呵を切る。今のは勿論囮だ、本命はこの後に来る遅延魔法のデザスタースラッシュ。魔族にも致命傷を与えられる、俺様の必殺技で有る。
「それで我を倒せるとでも思っていたのか? 浅はかにも程があるわ!」
「馬鹿な!? 無効化された!」
背後を捉えた筈の魔法が直前でかき消える。しまった、あのマント魔法無効化の付与が有ったのか!
「魔王を舐めるのも大概にしろ! 今迄は息子の戯れと我慢していたが、もう許せん。貴様との縁を切る、勘当だ!!」
「何だと!?」
突然俺様の足元に魔法陣が展開される。逃げようとしたが、その前に発動した様で魔王城から転移させられた。
「くそ、勘当だって? 上等だ、こっちからお断りしてやんぜ」
見知らぬ大地に放り出された俺様。さて、これからどうするか。しかし、全然心配ご無用だ。
「こんな事もあろうかと、親父の宝物庫からくすねておいて良かったぜ。確か・・・」
身体を弄り、アイテムを取り出す。
「ダンジョンコア。これが有れば、俺様憧れのニートになれる!」
ダンジョンコアに魔力を流し、起動させる。確か地面にぶっ挿せば良いんだよな?
ゴゴゴ、と地響きの後でぽっかりと穴が開く。
「おお、下り階段が出来たぞ!」
降りて中の様子を伺う。石造りの四角い部屋が、通路を挟んで四つ出来ていた。その一つにダンジョンコアが設置されている。
「一日に流せる魔力はこの程度か、後は他の奴らから搾取しないといけない。意外と面倒だな」
ステータスを展開して俺様の職業を確認すると、「無職」と書かれていた。本当に勘当したんだな。ダンジョンにはまだ誰も侵入していないので、職業が変わっていない。ダンジョンで自分以外か魔力を搾取して初めて職業が「ダンジョンマスター」になるらしい。
「まあ、ニート生活は出来るからのんびり拡張すんべ」
勘当された初日、俺様ダンジョン作ってニートになる。
翌日、侵入する奴が現れるはずも無く、快適とは言い難い眠りから目覚めた。ベッドが欲しいぜ。今日の魔力を注入して、ダンジョンの拡張を始める。
「先ずはダンジョンコアを下層に持ってかないとな。くそ、階層追加でもう魔力切れかよ。ベッドは明日かぁ」
幸先悪し。
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