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ところが…
先輩たちの試合が始まったものの…
珍しく苦戦していた。
確かに相手校も強豪ではあるけれど勝てない相手じゃない。
原因はハッキリしている。
先輩のシュートが今日はいつもの半分も決まらないからだ。
「田之上先輩、珍しいね。こんなに調子悪いの見たことないよ。」
ムッちゃんも驚いている。
て言うか…何よりも私が驚いてるんですけど。
先輩、どうしたんだろ?何か、いつもより焦ってるし、体調が悪いのかな。
もしかして風邪引いた?
だけど、今朝貰ったメールにはそんな事、書いてなかったし、いつも通り強気の先輩だった。
それでも試合はキャプテンである谷口先輩の活躍でなんとか追い付きつつあった。
けれどーーー
先輩が放つシュートはことごとく外れてしまい、遂には
「遼、もう、打つなっ。」
谷口先輩の厳しい声がコート内に響き、体育館の二階から応援している私達の所まで届いた。
先輩の顔が苦しげに歪む。
先輩、どうしたの?
私、知ってるよ。
みんなは先輩を天才プレイヤーだって。しかもクールなイケメンでなんでもそつなくこなすって言うけれど…違うもん。
本当は誰よりも努力して努力して上手くなってるんだってこと。
クールな顔は照れ隠しなんだってこと。
私はそれを分かってるつもりだよ。
だって、だって一番側で見てるんだもん。
先輩の事、ずっと見てるんだもん。
だからこそ、先輩の…
先輩の力になりたいっ!
私はスーっと息を大きく吸うと、
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