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「りょ、りょ…遼一!勝たなきゃキスしてあげないんだからねっ!」
気づいたら、試合会場中に私の声が響き渡って一斉に視線が集まる。
もちろん、先輩も驚いた顔で私を見てる。
けれど、直ぐにニッコリ笑うと
ーーーバカ
満足げな顔で私を見る先輩の口がそう動くのが分かった。
「もぉ、せっかく頑張ったのに。」
そう言いながらも私の顔はニヤけっぱなしだ。
けれど両手でパチンと叩いて気合いを入れると先輩の動きを追う。
すると先輩は相手チームからボールを素早くカットしたかと思うと今までとは全然違うスピードでドリブルをし、相手方のディフェンスを何人もするりと抜けていく。
そして、さっきまであんなにも入らなかったのにあっという間にゴールを決めた。
「やったっ!」
ムッちゃんとハイタッチする。
そこからは先輩の快進撃が始まり、遂にその差は後、二点。
うちの高校が追っていた。
タイムボードを見ると残り10数秒。
先輩の場所からだとゴール際まで行くのは厳しい。
私は目を閉じ祈った。
どうか、お願いーーーー
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