Ⅱ.Name stealer

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Ⅱ.Name stealer

窓際の席。 彼女はいつも、ぼんやりと? 外を眺めていて。 クラスの誰にも、話しかけることも無く、誰からも、話しかけられることも無いまま。 ただ。 何故、だろう? 彼女からの視線を感じることが、私には、ときおりあって。 ときにはこちらから、ちら、と見返してみるのだけれど。 そんな時は、彼女は決まって、謎のような微笑を浮かべていて。 同じクラスなのだもの、彼女の顔は、もちろん見知っている。 が。 彼女の、名前は? 覚えていないはずは無いのに。 何故か? 私はそれを、思い出すことが出来なくて。 その日は午後から、霧吹きを吹き散らしたような雨模様。 最後の授業のために、私は、テキストを出したり、しまったり。 と。 視線? また? 窓際の辺りへと、こちらも、目線を。 やっぱり。 彼女は、じっと、こちらを見ていて。 そして? にっこりと? いつもよりも、はっきりとした笑みを? 誘われるように? 私は、立ち上がっている。 そうだよ。 クラスメイトなのに、その名前も、思い出せないなんて! 私はそのまま、近付いている。 そう、彼女の席へと。 謎のような微笑を湛えたまま? 彼女は、私を? 待っている? 私は、彼女を、見下ろして。 彼女は、私を、見上げていて。     
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