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相手が女なら、許せたのに。
「……ずりーよ」
悔しさと、嫉妬で、泣きそうになっている顔で、その人はそう震える声で言った。
こんなにきれいな人が、もう自分に振り向いてくれはしないただ一人の人間を好きであることを、まだやめられないのだ。
織が泣いているのを見るのは、それが初めてだった。
悔しさ。
ただそれだけが織を泣かせていた。
織はそこで初めて失恋したのだ。
朋也にはかける言葉もなかった。
この美しい彼の、幸せを祈ることしかできなかった。
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