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「……よく会うな」
「……本当に」
あれで歯車が噛み合ったのか何なのか。
中学を卒業してから一度も会うことなどなかったのに、この数日の間に二回も会うことになるとは。
今度は織は一人で、俺はまた光希と一緒だった。
織は光希を見て、
「また一緒にいるんだな」
と俺にだけ聞こえるように言った。
そこで光希は自分のことを何か言われていると思ったのか、織に
「こんにちは」
と律儀に挨拶をした。
織も、こんにちはと返す。
「この前も会ったよな。朋也の、友達?」
織が意地悪く、そして、率直に光希にそう訊いた。
「えっと……」
光希は一瞬返答に困って俺を見たが、その反応がもう、違うと答えたも同然だった。
「……そーゆーこと」
俺が言うと、
「お前、変わったな」
織はどこか物悲しげに、笑って言った。
状況をよく飲み込めていない光希に、俺が、
「俺の……元カレ」
と言うと、光希は本当に驚いたようで、
「えっ……」
とだけ言って、言葉をなくしてしまった。
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