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何を焦っているのか、と聞かれた。確信を突かれてしまった。
言えない。答えられない。
僕の焦りの原因が、原田様ご自身なのだとは、とても申し上げられない。
覚悟は、していた。
原田様が、新選組に身を置いておられる剣士だということ。
上野寛永寺にて謹慎なされているという、前の大樹公様の警護。それだけが、いつまでも新選組のお役目であるはずがないこと。
幕府が機能しなくなったということだが、甲賀様も今まで通り海軍のお役目を続けておられ、往時よりもさらに多忙になされておられる。
見聞きしたそれら全てを考え合わせてみれば、戦の火種はいまだ消えておらず。早晩、原田様もご出陣なされるのではと予想はしていた。
いつまでも僕のお師匠様でいてくださるという保証はない。だから、少しでも早く上達したかった。そのために、無茶な鍛錬を重ねた。
剣も槍も。あの方に、ほんの少しでも認めていただけるようにと。
また置いていかれる側になるのは、とっくに諦め、受け入れていたことだけれど。僕が剣の腕を上げることで、弟子を途中で放り出す良心の呵責を、わずかにでもあの方から減らせるような気がしていたのだ。
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