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「あぁ? お前、何、いきなり立ち直ってんだよ。それに俺はいつでも後先考えてるわ! なんなら、各組長の中で一番冷静だって言い切ってもいい。馬鹿にすんなっ」
「ふふっ。左様でしたか? それは失礼いたしました」
僕が立ち直れたのは、あなた様のおかげなのですよ。と申し上げてもいいけれど、口にするのはやめた。
そんなことは言うだけ無駄だ。そんな言葉を、この人は望んではいない。
その証拠に、師匠に対して憎まれ口をきく僕を見る目は、とても温かいのだ。
だから、「全く失礼な弟子だ。なってない」とぼやきながらも笑っておられる前で、姿勢を正す。
「原田様」
お願い事のためだ。
「ん?」
「僕の髷を落としてください。僕は不肖の弟子ですが、せめてお師匠様と同じ決意で今後の鍛練に臨みたいのです。お願いです。僕も、今日、断髪します!」
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