第二章 女賊 紅蜥蜴

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その夜 神宿にて 勢力を拡大中の 振興やくざ黒畷一家に 二つの凶変の知らせが届きました 一つは 無論 掏りの小僧 つばくろを追って行った若い衆が全滅して それを聞き付けて すぐに向かった 大幹部日本刀の夜叉が率いた衆もこれまた 夜叉諸とも 全滅した件 これを聞いた 大幹部の一人 剛力の銀蔵が「馬鹿な あの夜叉が倒されたって いったいどんだけの数がいたんだぁー!」と叫べば 「たった一人に」と答える者へ 銀蔵 「嘘言うなぁ」と その若い衆を投げ飛ばしては 圧死させてしまい 「おいおい 銀蔵 仲間を無闇に殺すな」と もう一人 の大幹部 疾風の市に言われるも 「疾風のぉ だってよ あの夜叉がたった一人に殺られる訳ねえぜぇ」と巨体を揺らし抗議すれば 疾風の市 「俺でも 夜叉ごとき一人で倒せるぜぇ」と細い体に似つかわしくないだみ声で 言うと ゲラゲラ 大笑いしだした 銀蔵も「それもそうかぁおいらも倒せるなあ がはは」と仲間の死をもちょうしょうしています そこへ 第二報が。。。 「大変です~! 神宿の賭場が連続して三軒 やられましたぁ」 それを聞き付けた もう一人 四人めの幹部 紅蓮の獅子丸が 全身から殺気をたぎらせて 「神宿のうちの三つの賭場がどうしたってきっちり言ってみろ」と 他の幹部をも圧倒する迫力で その若い衆へ訊ねます。 若い衆 おどおどしつつ 「はい あがりの金を強奪されました しかも ほんの数時間で うちに三軒がです」 「っで どこのどいつがやったんだ?」 「商家の旦那に連れて来られた若い女が はばかりへ消えた直後 十名近い黒装束の連中が侵入して 賭場のやつら 皆殺しにです」とおどおど答えた若い衆へ 紅蓮の獅子丸 真っ赤な長髪を靡かせ 近付き「三軒ともその女が関わっているのか?」と 生きた心地のしない 若僧 「はい 客連中に確認したら 同じようです」 「はっきりした知らせじゃぁねえんだな? まあいい その客たち そのままにしてあるだろうな?」 「はい あのような不手際 お客さん方にちゃんと非礼を詫びねばなりませんから」 「馬~鹿 客に詫びなんざ要らねえ 皆殺しにしろ!」 「えっ?」 「賭場へ若い衆を行かせろ 全員消してしまえぇ~!」 「そんな不義理できませ~」 バサ 若い衆 首を一瞬にして落とされました。
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