第二章 女賊 紅蜥蜴

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秘密のおーくしょんが終了して裏口から 皆外へ 誰一人振り向かず さっさと 遠ざかって行きます それを眺める影が二つ 一つは あの掏り少年のつばくろ なにげに 浮浪者を装いつつ 辺りを窺っていて もう一人は これも 何やら物請いのようではあるが どうも目付きにまでは 素性が出て仕舞っているようで 裏口から出てきた 数名に混ざって 紅蜥蜴の手下 黒服が上に作業着を羽織って 出て来て この二人の近くまで そっと寄っては いきなり  飛び付き 捉えてしまいました    つばくろも逃走を謀るも 一瞬にして絡めとられ 物請いもまた すぐに ロープでぐるぐる巻きにされ 裏口から 中へと 運び混まれてしまいました なかでは 顔の半分上を紅色の仮面で被った 女主人 紅乃が いや 姿形は もはやあの際どい水着ではなく 黒い男物のスーツを着ています 「この小さい方は 先程 やつらに小突かれていた少年ではないかい そんな格好しててもすぐにわかるよ つばくろくん」 いきなり 正体を暴かれた つばくろ少年 潔く 「すごいねえ おいらの正体すぐに当てちゃうとは 流石 紅蜥蜴の姉御さんで」とこちらもやり返し、ロープを持つ黒服が 少年を小突こうとするのを 紅蜥蜴が静止しては 「どうやってつきとめたんだい つばくろくん」 「ははは 兄貴を追ってる間抜けが いたから 捕り逃がして いそいそと戻ってくるところをつけただけさ あはは」と大笑いするや 一人の黒服が 殴りつけようとするのを 紅蜥蜴 いきなり 拳銃を以て  ばん~! 射殺してしまいました 「ったくぅ 役立たずは要らないよ それより あんた あたしらの仲間に いや 共闘しないかい? その度胸に瞬発力 掏りの腕も買ってるんでね 」
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