第三章 激突 白蛇対黒畷衆

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白蛇は神宿の追分辺りをぶらぶらしています そこへ スーっと寄ってきた影が 汚ならしい格好をした浮浪者みたいだが しかし どこか 抜けめない感じのする 小男です 「旦那ぁ 情報入りませんかぁ 黒い畷の」と小声で囁いてきた小男に 白蛇 懐から 金子を出しては「浮浪者なら もう少し 足元も汚しておいたがいいぜ」と笑いながら 「っで 今噂になってる やつらが 武器を確保してここいら一帯のやくざを全て傘下に入れようってことなら知ってるが それ以上のことだろうなあ 驢馬(ろば)」 「おっとぉ 白の旦那ぁ その名前 ここで言わんでくださいよ 誰が聞いてるともわからんのですから」と 驢馬と呼ばれた小男 どうやら 情報屋のようです 白蛇 煙草を驢馬に渡しながら すぐそこの 細い路地へと進んでは 一服するように誘い 路地の大きな石の上に腰をかけました 「黒のやつら どうやら 明日 武器を大量に調達する手はずになってますねえ 」 「で 場所と時間は?」 「へぃ 陸軍の研究施設のある 小山台の空き地ですぁ 時間は夜十時」 「なるほどな 軍部の旧兵器を横流しする不貞な輩がいるってのも事実らしいなぁ わかった ありがとうよ」と言っては  今明けた煙草の箱をそのまま 驢馬に渡して 白蛇は いつものように 群青色のケットを頭から被っては  その場所を立ち去りました っとそこへ あの 掏りの少年 つばくろが 現れては 白蛇のあとを 風のような勢いで 追いかけて行きます どうも 明日 神宿の小山台にて なにか起きそうですねえ
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