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2-4.濁った泥を飲み干す覚悟
リアン伯爵家の現当主は、ミシャ公爵の次男が婿入りしている。
今回のクーデターの首謀者と判断された子爵に、娘を嫁がせたのはリアン伯爵だった。つまり、子爵の妻はミシャ公爵の孫に当たる。
息子と孫娘が関わっていて、無関係を装えるほど公爵に余裕がないのだろう。
失敗を考慮に入れなかったのかも知れない。
確かに、巧妙に幾重にも張り巡らされた罠は、ウィリアムでさえ感嘆した。
抜け出る先を計算し、その場所に傭兵を配置する。
何も知らずに随行していたら、エリヤもウィリアムも生きてはいなかった。それほどの完璧な計画だったが……。
傭兵を集めるのに金がかかるのは周知の事実。そして大きな金の流れに敏感なのが、情報売買を生業とする情報屋たちだ。
情報屋レイルが齎した情報は、国王エリヤと執政ウィリアムの命を救い、それに相応しい報酬を持って報いられた。
公爵達の失敗は、情報屋に支払う金をケチったことだろう。
傭兵達は金で黙っても、その仲介に当たる情報屋を満足させなければ、情報は流れてしまう。雇う傭兵の情報を売った時点で、彼らの仕事は終わっているのだ。
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