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傭兵を集めた公爵の情報は、さらに金を払う人間がいれば商品になる。
それが嫌なら、相応の口止め料が必要だった。
「リアン伯爵の爵位剥奪? 少し事が大きくなり過ぎる……」
公爵が黙っていない筈だ。
納得したと滲ませたエリヤの黒髪に指を滑らせ、ウィリアムは行儀悪く机の端に腰かけた。長いすらりとした足を組んで、広い机の上に身を乗り出す。
「大丈夫、すべて執政の権限で片付けたから」
つまり国王は手を汚さない。何も知らないと外部へ示したのだ。
逆に、執政はすべてを知っている――そう知らしめることで、国王への批判を躱しながら守る気だった。
ウィリアムの思惑に、エリヤは眉を顰める。
長い髪が机に散らばるのを掴み、ぐいっと近づける為に引く。痛みがある筈なのに、何も言わないウィリアムは目を細めて顔を寄せた。
「俺に知らずにいろ、と……」
「違うな、本当に『知らない』方がいい。汚い仕事は全部オレがやる。おまえには白い手でいて欲しいんだ」
ちゅっと額にキスが降り、反射的に目を閉じる。すぐに開かれた蒼い眼差しは、複雑な感情を滲ませていた。
国王として、表舞台を歩かなくてはならない立場は理解している。
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