2-1.薔薇の下の秘密

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 陽に焼けない為、白くて柔らかい肌の手が伸ばされる。ふわりと触れる指先が、前髪を浚い、頬を滑り、唇で止まった。  意味ありげな笑みを向けられ、ウィリアムは静かに目を伏せる。 「このような場で……」 「俺の願いを無視するのか?」  宮殿の中庭は、四方をぐるりと囲まれた形から誰が見ているかわからない。そう告げて自制を促す執政に、我が侭な国王は不遜な物言いをした。  困らせるのは先刻承知、それでも欲しいと手を伸ばす。その為の方法を教えてくれたのは、戸籍上は存在しない年上の従兄弟である彼なのだから……。 「願い、ですか?」  その程度?   意地悪げに問われ、いつの間にか逆転した立場に気づかされた。  その外交手腕がウィリアムの有能さの証なのだと知っていても、何となく気に入らない。  だから子供なのだ。自覚していても、エリヤは直そうと思わなかった。  直す必要がない、己の立場は誰より理解している。  こう言えばいい。 「ならば命じる」 「御意」  お気に入りの青紫の瞳が優しく感情に溶け、整った顔が近づいた。  反射的に目を瞑ったエリヤの手を捧げ持ち、軽く唇を押し当てる。続いて、頬に触れるだけのキスを落とし、最後に掠めるように唇を奪った。     
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