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テイラの呼びかけに石が砕け散る。そして砕けた石の輝きが一層増し、円状に回りだした。
その輝きは一室を丸々覆うほどの光を放ち、あらゆる者の視界を奪った。テイラも目を開けてはいられずに腕で目を覆い隠した。
「誰じゃ。 こんなところに我を呼んだのわ」
可愛らしい少女の声が聞こえる。部屋に先ほどまでテイラだけしかいなかったので、この声の主は勿論呼び出した神・シュヴィだ。
テイラは恐る恐る隠していた腕を除けると、そこには薄いドレスで着飾った一人の……いや女神という言葉が相応しい、15,6歳に見える透き通るような緑色の短髪少女がいた。
「急なお呼び建て申し訳ございません。 シュヴィ様」
シュヴィは跪くテイラに対し、手で追い払うかのような動作を見せる。
「よいよい、軽い冗談だ。 それとそんなに畏まらんでもいい。 普通にしてくれ」
「ですが……」
「良いと言っておるのが分からんのか?」
「すみません。 では……」
見た目は可愛らしい少女でも、中身は神だ。流石の迫力に度肝を抜かれる。テイラはその場から一歩引き下がり立ち上がる。
「それでお話なのですが―――」
「うむ。 これを見ればなんとなくわかる。 異世界から勇者を召喚したいのであろう? ならさっさとせい。 我も準備しておくからの」
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