「力」と「死神」

1/6
6人が本棚に入れています
本棚に追加
/76ページ

「力」と「死神」

「白の間」を出たあたしは、Rookの「城」に向かった。網膜スキャンを使い中に入るとRookが待っていた。 「Bishop、あの薬はダメだったんだ」 『暖かいものに入れると、渋味が残るんだよ。だから改良が必要かな…』 「分かったわ。もう少し改良してみる。ところでここに来たって事は、何かあったの?」 『それなんだけどね、オッドアイになると、あたしと紅焔の意識が混ざりあって、話す言葉が混ざるんだよ。どっちなのか分からなくなるの。今からMariaのところに行くんだけど、一応Rookにも報告が必要かなって』 「確かにそれはMariaの管轄ね…一応こっちのカルテには記録しておくわ。その方がカルテを一括で保存出来るから」 『ありがと。あと、網膜スキャンの事なんだけど… 紅焔の登録は要らない?』 「どうだろう?紅い瞳は反応しないのかしら」 『やってみようか?』 そう言うとあたしは目を閉じる瞼を開けると右目だけが紅くなっていた。 網膜スキャンにかけるとエラー音がする。 3回行ったが全てエラーになった。 『通らぬか…逆の目なら大丈夫なのかな?』 もう一度目を閉じて瞼を開けると、右目は蒼く、左目が紅く染まった。 左目を網膜スキャンするが、やはりエラーになる。 3回やったが、エラーになるだけだった。 『だめじゃん…どうしたらこのエラー音止まるわけ?無理矢理にでも破壊するか?それともハッキングとやらをすればいいのか?』 「ハッキングはやめて。解除に時間がかかるから…ってその話し方、本当に蒼焔なのか紅焔なのか分からないわね」 『Masterにも同じ事を言われた。故にこの後『Strength』の所に行くようにと指示されている』 「音声データも残したわ。Mariaと共有するからね」 『どちらにしても登録は必要なんじゃないかな?帰ってきたらやってくれる?』 「分かったわ。用意しておく」 『じゃあ、Mariaの所に行ってくる。今日は車で行くかな』 「ポルシェで行くの?今度あの車、自動運転が出来るようにしようかしら」 『それ、なんか昔見た事あるなぁ』 「多分テレビじゃない?ま、正式決定じゃないから。気を付けていくのよ!」 『分かった。じゃあ後で』 そう言うとあたしは「城」を出るとサングラスをかけてポルシェに乗り込み、Mariaの許へ向かった。
/76ページ

最初のコメントを投稿しよう!