6人が本棚に入れています
本棚に追加
Prologue:「死神」が壊すもの
「ちょっと待てよ!お前、これ壊すって何考えてんだよ!」
『黙ってろ。Masterに指示されたのだから仕方ないだろう?』
「お前な、こんな事したら余計に…って、おい、止めろってば!」
『だから動くなって!逆に怪我するよ、良いの?』
そう言うとあたしはウルフの左腕を右手で持つと、その手に力を込める。
ウルフの左腕に付けてあったギプスが一瞬で粉々に砕けた。
1度手を放して、ギプスを外すとウルフの左腕を同じように掴んでまた力を入れる。
それを見た夜叉も驚いている。
「蒼焔か?それとも紅焔か?どっちにしても何やってるんだ!
ウルフが骨折してる事を知ってるだろ?
そんな事したら治るものも治らないだろうが…」
『だから、Masterに頼まれたんだってば。
「夜叉と天狼の傷を治して来い」と…
我が決めた事ではない!』
「風雅が?しかも俺もだと?」
あたしがウルフの左手から手を放すと、ウルフは左手を動かす。痛みも何もないのだろう。
そのまま近くのソファを力任せに殴ってみるが、何も起こらない。
最初のコメントを投稿しよう!