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スーツ姿のまま車のハンドルを握ると、そのまま夜中の街を疾走する。
20分程でMariaの病院に着いた。車を降りると、ビルの階段を上がっていく。
『Maria、いる?』
「あら、蒼焔。どうしたの?」
『Masterから連絡がきたと思うんだけど…』
「え?ああ…さっき電話があったわ。なんか困ってるんだって?」
Mariaは紫煙を燻らせながらあたしに話す。
サングラスを外したあたしはそんなMariaを見て笑いながら言う。
『医者が病院で煙草かよ。まあ、その方がMariaらしいから良いけど。
困ってるのはオッドアイの時の状況に関して。音声ファイルがRookから届いていると思う』
「これか……あー、確かにこれはちょっと厄介かな」
『Rookの所のセキュリティが紅焔の瞳じゃ通らない事も分かったから、
そこはRookに対応してもらうことにしたんだ。その時にその音声が録れた』
「ちなみにオッドアイになってどの位で混同する?」
『時間を経たずにかな。どっちが喋ってるのか分からなくなって…
ウルフも夜叉も混乱して、結果あたしの瞳を見て判別してるんだけどね。
オッドアイだとそれも出来ないから…こういう時ってどうするの?』
「確かにねぇ…毎回『キーワード』を言う訳にはいかないし、だからと言って「今はどっちだ?」って聞かれるのも困るわね」
『でしょ?なんか良い方法ないかな?』
「とりあえず座ってくれる?その方が話もしやすいでしょ?煙草吸ってもいいし…」
そう言われてあたしは椅子に座り、自分の煙草を取り出して火をつける。
その時無意識に目を閉じて、右目を紅くしてしまったようだ。
『それで、これは何時になったらましになるの?流石に任務に支障をきたしては困る』
「そうね…紫苑と『Death』の2人が混乱するなら分かるけど、蒼焔と紅焔じゃねぇ」
『意識をしてもこの話し方になるからさぁ… 変わるのは口調のみ。我か奴か判別がつかぬ』
「……今も見事に混ざってるわね、2人とも」
『え?』
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