「力」と「死神」

2/6
前へ
/76ページ
次へ
スーツ姿のまま車のハンドルを握ると、そのまま夜中の街を疾走する。 20分程でMariaの病院に着いた。車を降りると、ビルの階段を上がっていく。 『Maria、いる?』 「あら、蒼焔。どうしたの?」 『Masterから連絡がきたと思うんだけど…』 「え?ああ…さっき電話があったわ。なんか困ってるんだって?」 Mariaは紫煙を燻らせながらあたしに話す。 サングラスを外したあたしはそんなMariaを見て笑いながら言う。 『医者が病院で煙草かよ。まあ、その方がMariaらしいから良いけど。 困ってるのはオッドアイの時の状況に関して。音声ファイルがRookから届いていると思う』 「これか……あー、確かにこれはちょっと厄介かな」 『Rookの所のセキュリティが紅焔の瞳じゃ通らない事も分かったから、 そこはRookに対応してもらうことにしたんだ。その時にその音声が録れた』 「ちなみにオッドアイになってどの位で混同する?」 『時間を経たずにかな。どっちが喋ってるのか分からなくなって… ウルフも夜叉も混乱して、結果あたしの瞳を見て判別してるんだけどね。 オッドアイだとそれも出来ないから…こういう時ってどうするの?』 「確かにねぇ…毎回『キーワード』を言う訳にはいかないし、だからと言って「今はどっちだ?」って聞かれるのも困るわね」 『でしょ?なんか良い方法ないかな?』 「とりあえず座ってくれる?その方が話もしやすいでしょ?煙草吸ってもいいし…」 そう言われてあたしは椅子に座り、自分の煙草を取り出して火をつける。 その時無意識に目を閉じて、右目を紅くしてしまったようだ。 『それで、これは何時になったらましになるの?流石に任務に支障をきたしては困る』 「そうね…紫苑と『Death』の2人が混乱するなら分かるけど、蒼焔と紅焔じゃねぇ」 『意識をしてもこの話し方になるからさぁ… 変わるのは口調のみ。我か奴か判別がつかぬ』 「……今も見事に混ざってるわね、2人とも」 『え?』
/76ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6人が本棚に入れています
本棚に追加