Prologue:「死神」が壊すもの

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バーカウンターの中で、グラスに氷を入れてスコッチを入れながらあたしは夜叉に聞く。 『ところで夜叉、他の組織の動きに進展があったって?』 「ああ、その事か…それなら情報がある。『Green Cancer』の件だ」 そういうと夜叉はPCを操作して画面を出す。そこには『Green Cancer』の組織図が描かれていた。あたしはグラスを3つ並べるとカウンター席に移り、ウルフと夜叉と3人でグラスを傾けながら話を続ける。 「先代の「金剛(こんごう)」から代替わりしたのは「湖月(こげつ)」だったよな? でも、実質的なトップは別の奴らしい。それがこの「聖那(せな)」だ」 「聖那って…こいつ、女か!見た感じは完全に男だ。蒼焔に負けてねえな…」 『こんな奴と一緒にされたら困る。前にいた「水蓮(すいれん)」はどの位置にいる?』 「奴は『Aqua Virgo』が向けた刺客だったよ。あの一件があってから、水蓮は『Green Cancer』との関わりを絶っている」 「それってやっぱり蒼焔が出て行ったからか?」 「だろうな…何せ『Black Gemini』が出てきたんだ。奴等も立て直しを図らないと意味がない」 『それで、今回はどうするつもり?』 「いっそ壊せばいいんじゃないか?まあ、風雅の指示がないと無理だと思うが…」 「壊すって言ったって、何を壊せばいい?『Aqua Virgo』を組織ごと壊せって言うのか?」 『それとも逆に『Green Cancer』を壊した方がいいのかな… 夜叉、このデータをMasterに送っておいて。屋敷に帰ってMasterと決めるから』 3人で意見の纏まらないまま、時間が過ぎていく。 あたしは目を閉じると深呼吸をして目を開けた。 紅と蒼のオッドアイは、両方とも蒼い瞳に変わっていた。
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