Prologue:「死神」が壊すもの

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Prologue:「死神」が壊すもの

「ちょっと待てよ!お前、これ壊すって何考えてんだよ!」 『黙ってろ。Masterに指示されたのだから仕方ないだろう?』 「お前な、こんな事したら余計に…って、おい、止めろってば!」 『だから動くなって!逆に怪我するよ、良いの?』 そう言うとあたしはウルフ(天狼)の左腕を右手で持つと、その手に力を込める。 ウルフの左腕に付けてあったギプスが一瞬で粉々に砕けた。 1度手を放して、ギプスを外すとウルフの左腕を同じように掴んでまた力を入れる。 それを見た夜叉(やしゃ)も驚いている。 「蒼焔(そうえん)か?それとも紅焔(ぐれん)か?どっちにしても何やってるんだ! ウルフが骨折してる事を知ってるだろ? そんな事したら治るものも治らないだろうが…」 『だから、Masterに頼まれたんだってば。 「夜叉と天狼(てんろう)の傷を治して来い」と… 我が決めた事ではない!』 「風雅が?しかも俺もだと?」 あたしがウルフの左手から手を放すと、ウルフは左手を動かす。痛みも何もないのだろう。 そのまま近くのソファを力任せに殴ってみるが、何も起こらない。
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