のばらとうらら 第7章

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のばらとうらら 第7章

うららは自宅のパソコンに電源を入れると、 のばらから写真が何枚かとフェイスブックの登録の方法について 詳しく書かれたメールが届いていた。 写真は、さくらのLIVEを観ていた時に声をかけてきたカメラマンの 向井さんからLINEで届いたものを転送してくれたようだ。 結構綺麗に撮ってくれていて、嬉しい。 何かお礼しなくていいのかしら・・ フェイスブックの登録方法を見ながら、何とか登録できたので、 プロフィール写真に早速その写真の1枚を使ってみた。 すると、誰にも連絡してないのに、 沢山の知り合いから友達申請がポンポンと来た。 誰にも登録したことを言ってないのに、どうしてわかったんだろうと、 ちょっと気味悪く思いながらも、知り合いの申請には全て承認した。 のばらとさくらはやっていると言ってたけど、 桃子も江里奈もやってるのね。 フェイスブックって、一度に知り合いの近況がわかるのが便利ね。 夢中になって、タイムラインをスクロールしていると、 思わず手を止めてしまった。 アランが映っている写真が出てきたのだ。 しかも江里奈と一緒の写真だった。 とても仲よさそうに写っている。 江里奈はジャズシンガーで、アランはピアニストなので、 一緒にLIVEすることくらいあるはずなのに 少しばかりの嫉妬を感じているのだった。 アランはフェイスブックしてるのかしら・・ この江里奈の写真の部分にタグ付となっているところを、 クリックしてみると アランのページに飛んだ。 フランス語と日本語で書かれたプロフィールと、 ピアノの上にワイングラスが置かれたカバー写真が 出てきた。 プロフィール写真は言うまでもなくイケてる。 友達になるという部分をクリックしてみた。 するとすぐに申請承諾されてメッセージが来た。 「うらら!申請ありがとう!さっきメールも読んだよ。 パーティに呼んでくれるんだって! 嬉しいよ。メルシー! ちょうど来週日本に行くから、会いたいよ!」 メッセンジャーというメール機能が使われて送ってきたようだった。 チャットに慣れていないうららは、モタモタしながら文字を打ってると、 またメッセージが送られてきた。 「うららもFB始めたんだね。僕のようなミュージシャンにとっては、 とても便利なツールだけど、 危険も潜んでるから、気をつけながらやるといいよ! プロフィール写真、とても綺麗だね! とても会いたいよ!ジュテーム」 フランスと日本のハーフで、フランスの血が濃いのか、 女性を歓ばせる言葉を乱発してきて、 ついうっとりとしてしまう。 「アラン、江里奈ともお友達なのね」 やっと打った文章がこれか!と自分でもびっくりしたが、 エンターを押したら そのまま送信されてしまった。 「そうだよ!パリのジャズフェスでエリナのバックでピアノを弾いたんだ。 彼女、フランスでとても人気あるシンガーだよ。 iTuneに音源がアップされていて、結構ダウンロードされてるんだ。 Sweetでスモーキーな歌声が魅力的だって評判なんだ。 うららの友達とは知らなかった。世間は狭いね」 文章を改行すると、すぐに送信されてしまうので、 改行せずに文章を打ってみた。 自分でも文章が読みにくい。改行って結構大事ね。 「アラン、江里奈と知り合いだったら話は早いわ。 私のパーティでも、江里奈を呼んで歌ってもらうことに なっていて、アランもピアニストとしてお招きしようと思っていたのよ。 日本に帰ってきたら、必ず連絡してね」 これだけ打つのに、何分位かかったのだろうか・・ 「ウィ」 アランからの返事はとにかく早い。うららが文章を打ってるのを、 我慢強く待ってくれているのが嬉しかった。 パソコンからのメールはじっくり時間をかけて文章を作れるが、 フェイスブックのメッセージのやり取りは スピードが必要なのだと知った。 すると、今度はのばらからメッセージが入った。 「うらら、フェイスブック始めたのね!友達申請が来ても、 知らない人は無視しないとダメよ。 面倒なことになるからね」 心配性ののばららしいメッセージだった。 スタンプを送ってみた。 今度はさくらからだった。 「先日は、ライブに来てくれてありがとう! 久しぶりに会えて嬉しかったわ! ゆっくり話出来なくてごめんね。また今度皆で会おうよ! つもる話もあるし。 このプロフ写真は、ライブに来てくれた時の写真よね。 服装がそうだったから。 相変わらずセンスいいよね!」 皆どうして、まるで話をしてるようにメッセージを送れるのだろう・・ しかも打つのが早い。 事務仕事の経験が無いうららは、パソコンで文字を打つのにも 時間がかかってしまうのだった。 手紙を書くように、ゆっくりとメールを書きたい。 なので後でゆっくりメッセージを書くことにした。 そうこうしてる間に、どんどん知り合いから申請依頼が入ってきたので、 面倒になってしまい、ログアウトした。 文明の進化って本当にすごいわね。 でも、わたくしはもう少しゆったりと時間を過ごしたいわ。 アランと江里奈が知り合いだとはびっくりしたけど、 音楽関係の人たちは、 きっと色々とどこかで繋がっていくのね。 知り合いだったら、その筋からミュージシャンを 呼んできてもらえるかしらね。 アランも来週日本に来るから いろいろと相談に乗ってもらいたいわ。 パーティは来週末にしましょう。今から招待状を作らなくちゃ。 お料理は豚の肩ロースを塩麹につけて オーブンで焼いたものをメインにして、 バーベキューパーテイに したら、皆でワイワイできそうね。 ワインはひとり1本持ち寄りにして、 徹さんのお知り合いに出張シェフの方はいたから、 その方にもお手伝い頂けるか聞いてみないと。 その時、のばらから電話がかかってきた。 「うらら、フェイスブックのメッセンジャーにメールしたのに、 全然返事がないから、電話したのよ。」 「ごめんね。どんどん申請依頼が来て、 どうしていいかわからなくなっちゃったの。 メールは見たわよ。知らない人からの申請は無視したらいいのね。 わかったわ。 それはそうと、パーティの日程を来週末に決めたの。 のばらも来てくれるわよね?」 「勿論大丈夫よ。招待状の作成も手伝うわよ。 あ、でもフェイスブック始めたのなら、 フェイスブックやってる人には、グループ作って、 一斉に連絡できて便利よ」 「まだ始めたばかりで、何もわからないから、上手くできるかしら・・ 私のフェイスブックから、のばらが私になりきってやってくれない?」 「もう、うららったら、相変わらず人使い荒いんだから。 まぁ、私にとっては、簡単なことだからいいけどね。 じゃ後でログインパスワード教えてね。」 「電話で話すのも何だから、うちに来てよ。」 「今から?今すぐはさすがに無理よぉ~でも用事を片付けたら、 すぐに行くわ」 「ありがとう、のばら。助かるわ」 そういって電話を切った。 さぁパーティの準備でしばらく忙しくなるわね。 でも楽しみだわ。頑張らなくちゃ。
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