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「夢だったんです。どうしても諦めたくない」
「……」
そこまで言われて、樒も長いため息を吐く。
しばらく考えていたが、やがてちらりと関を見遣ると、ゆっくりとした手付きで懐から携帯を取り出した。
「わぁ。ガラケーだぁ」
「あ?」
携帯を見た瞬間、まるで懐かしい物に出会ったかのような顔付きで、子供みたいに瞳をきらきらさせる関に、睨む樒の表情はあくまで冷たい。
「先生、まだガラケー使ってるんでっていたっ! 痛いです先生!」
「何か言いました? ガラケーで悪いですかね、チャラ男さん? 使い易さで選んではいけませんかね、チャラ男さん?」
ぐりぐりと関の顔に、全力でガラケーを押し付ける。
「わ、悪くないですぅ。てか、めっちゃ痛い……!」
「先生、暴力反対です……!」
怒り全開の樒を止めようと、椿も必死にしがみつくが、普段から鍛えている身体に対抗出来よう筈もない。
樒の方が低く、身長差はかなりある筈なのに、見上げているようでいて、見下している感じなのがまた、何だか怖過ぎる。
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