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「だ、大丈夫です」
長く息を吐き、傍にある机に手をついてゆるゆると立ち上がる。
「チャラ男さん、終わりましたね」
「あ、はい。あの、ありがとうございました」
多少ふらつきながらも、深く頭を下げる関に、しばらく沈黙が降りる。
「……?」
何故なのかと頭を上げると、樒が神妙な顔付きで見詰めている。
「あ、あの……」
「あ、すみません。では、僕はこれで」
関が声をかけると、はっとした様子でそう発して本当にその場から去ろうとする。
「せ、先生……! 何のリアクションもなしに帰ろうとしないで下さい!」
「どうしても帰るんですか!? あの、何らかのチャンスはないんですか!?」
食い下がる関に、しばし考えた樒が答える。
「ないですね」
「……え!?」
「俺、駄目だったんですか!?」
即答する樒に、驚きを隠さない二人が懇願する。
「……」
迫られて、いつものようにガラケー攻撃か、何らかの反論があると思っていたのだが、返ってくるのは沈黙ばかりだ。
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