第一章・―声優? チャラ男じゃねぇか―

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「だ、大丈夫です」  長く息を吐き、傍にある机に手をついてゆるゆると立ち上がる。 「チャラ男さん、終わりましたね」 「あ、はい。あの、ありがとうございました」  多少ふらつきながらも、深く頭を下げる関に、しばらく沈黙が降りる。 「……?」  何故なのかと頭を上げると、樒が神妙な顔付きで見詰めている。 「あ、あの……」 「あ、すみません。では、僕はこれで」  関が声をかけると、はっとした様子でそう発して本当にその場から去ろうとする。 「せ、先生……! 何のリアクションもなしに帰ろうとしないで下さい!」 「どうしても帰るんですか!? あの、何らかのチャンスはないんですか!?」  食い下がる関に、しばし考えた樒が答える。 「ないですね」 「……え!?」 「俺、駄目だったんですか!?」  即答する樒に、驚きを隠さない二人が懇願する。 「……」  迫られて、いつものようにガラケー攻撃か、何らかの反論があると思っていたのだが、返ってくるのは沈黙ばかりだ。
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