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「俺、駄目だったんですか……」
「先生、アニメ化の話は決定事項なんですよ」
「樒ちゃん昔から頑固だからねー。でも、ボクもやっぱり、アニメ化はして欲しいなぁ」
意気消沈する関に、嘆く椿。笑いながらも、諦める様子もない高畠に囲まれて、樒が困った表情になる。
「皆さんも、先刻の収録が良かったと思うんですね」
「はい!」
「当たり前ですよ!」
「良かったと思うけどなー」
口々に言われて考えていたが、やはり気持ちは変わらないらしく、首を横に振ると続ける。
「やはり。賛成はしかねます」
「やっぱりダメだねー。樒ちゃんにも意地があるもんね? でも、万が一を考えて誘ってみたんだけどなー」
高畠も先刻の収録に感銘を受けたらしい。
「このまま帰っちゃうの?」
全力で椿に止められながらも、ものともせずに出口まで歩こうとする樒を止める。
「収録は終わりましたので」
「晩御飯、食べに行こうよ。久し振りなんだし」
一刻も早く帰りたかったのか、すげなく返すのにすら慣れている高畠に、動きを止めた樒が視線を寄越す。
そうしてため息を吐くと、渋々といった形で頷いた。
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