第一章・―声優? チャラ男じゃねぇか―

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「成る程、向こうからオファーが」 「は、はい」 「じゃあ断って下さい」 「何故!?」 「むしろこちらが何故と言いたい」  あくまでもアニメ化を断る気満々らしく、取りつく島もない。  それだけ答えて再びパソコンへと視線を戻した青年は、それ以降無言のまま何も発する気がないようだ。 「先生、取り敢えず会うだけでもお願いします」 「……」 「(しきみ)先生、私、あのファンタジー作品が大好きなんです。今回、アニメ化の話が持ち上がって、自分の事のように嬉しかった。だから先生にも、喜んでもらえると思っていたのに……」  その場に崩れ落ち、本格的に泣いてしまった女性を横目で見て、青年……樒が初めて困ったような表情を浮かべる。 「……あのファンタジー作品は、僕にとっても思い入れは深いです」 「だったら尚更!」  がばっと顔を上げる女性に、びくりと身体を震わせた樒だったが、すぐに立て直すと続ける。 「あの。だから、あまり安易に扱ってほしくないというか……」  かなり口調がしどろもどろになっている。
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