123人が本棚に入れています
本棚に追加
「先生の本は全て保存用、観賞用、読書用、布教用と、四冊ずつ持ってるんですよ!」
聞いて、ぴくりと反応してもらえたのが嬉しかったのか、関はにこりと頷く。
「先生の本、声優仲間や親友や友達に布教してます。めっちゃ評判良いって、あいたぁっ!」
それこそめっちゃ良い顔して言ったのだが、喜んでもらえるどころか、額に怒りの青筋を浮かべた樒が思い切り殴りかかったのだ。
「せ、先生ー! いきなり殴っちゃダメです! 関さん悶えてるじゃないですか!」
女性が慌てて二人の間に割って入るのに、全く構わない樒がドスの利いた声音で凄む。
「……チャラ男さん。チャラ男さんは書籍の事を一体何だとお思いで?」
「はい! 先生の本は俺の宝物です! 後、俺の名前は関ですよ!」
殴られた箇所をさすりながらも、素直に答える関に対して、盛大に舌打ちした樒が続ける。
「書籍は読む物です。見るものではありません。まして保存するものでもありません。チャラ男さんは、僕の事を愚弄しているのですかね?」
「……? 尊敬してます」
先生が生徒にする説教みたいになってきたところで、関がほんの少し意気消沈する。
最初のコメントを投稿しよう!