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先輩の自宅は駅から歩いて五分というめちゃくちゃ便利な場所にあった。
まず先輩が家の中に入っていくと、すぐさま先輩のお母さんであろう女の人が玄関に出てくる。
「平井さんね! 章臣の母です。わざわざ来てもらっちゃってごめんなさいね。どうぞ上がってちょうだい」
章臣……。
一瞬の間が空いてしまう。
「平井」
「えっあっ……はい! すみません! ありがとうございますっ! あ! こ、後輩の平井まどかといいます、よろしくお願いします!」
「よろしくね」
先輩と先輩のお母さんに促され、私はおっかなびっくり家の中へ入っていった。
『藤沢章臣』
先輩のフルネームはもちろん知ってはいたけれど、いきなり名前が出てきて驚いてしまった。
初めて先輩の名前を知った時、いいなぁと羨ましくなったことを思い出す。
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