(3) はじめての……

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 段々と辺りが暗くなってきた頃、先輩が空を見上げながら言う。 「そろそろ帰らなきゃな」 「そうですね」  名残惜しいけれど仕方ない。私も同じように空を見上げた。  オレンジと群青が交じり合った、夕暮れと夜の(はざま)。  お祭りで色んなものを食べて、遊んで、こんな綺麗な空を先輩と二人で見ている。  これ以上は贅沢というものだ。  ゆっくり歩きながら石段まで来ると、先輩が私を振り返り、手を差し出した。 「え……?」 「手」 「え、えっ!?」  私がオロオロしていると、先輩は強引に私の手を取る。  そして、私を支えるようにして石段を下り始めた。 「足元フラフラしてるから」  慣れない下駄で歩きづらいのもあり、若干ふらついていたのは事実だ。  そう思って、また気付いた。
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