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「でも、ちっとも言うことを聞かなかった章臣が眼科に行って眼鏡作ってくるなんて、本当に驚いたわ! 平井さん、ありがとう」
先輩のお母さんはそう言って、美味しそうな紅茶を出してくれる。
「どうやって章臣を説得したの? ぜひ知りたいわ!」
目を輝かせるお母さんに、私は苦笑いしながら顔の前で手を横に振る。
「いえいえ……これ以上視力が落ちると、本読むのも大変になっちゃいますよって」
「私も何回も言ったんだけど……」
え? そうなの?
「あ! わ、私も実は目が悪くてコンタクトなんです。自宅以外で裸眼だともう怖くて歩けないくらいで。そんなの大変でしょって」
「似たようなこと言ったんだけど、全然聞きやしなかったわよ?」
え……。
先輩、私の言葉の何が刺さって眼科へ行ってくれたんだろう……?
やっぱり、皺??
私が首を傾げていると、おじいさんがひょいと大きく肩を竦めて言った。
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