242人が本棚に入れています
本棚に追加
私がホクホクとした顔で笑っていると、おじいさんがいいことを思いついたといったように大きな声を出す。
「そうじゃ! 今日は近所の神社で祭りをやっとったなぁ!」
「そうですね。小さいけど屋台も出るし、こじんまりしたいいお祭りですよね」
お祭り、屋台。あぁ、これぞ夏!!
そういえば、今年の夏らしいことといえば真由ちゃんと一緒にプールに行ったくらいだな。花火も行きたかったけど、真由ちゃんは受験生の彼氏さんとの唯一のイベントだったらしく付き合ってもらえなかったし。
浴衣着て、ドッカンドッカン上がる花火を堪能したかった!
そんなことを思い出していると、お母さんが驚くべきことを言い出した。
「そうだ! 章臣、せっかくだし、平井さんと一緒に行ってきなさいよ!」
「え……」
すると、即座におじいさんがそれに乗っかってくる。
「お礼も兼ねて行ってきたらいい! 小遣い奮発してやるぞ!」
「いや、別にいいし」
「何を言っとるか! そうだ貴代美さん、浴衣じゃ!」
「いいですねぇ! 平井さん、時間ある?」
最初のコメントを投稿しよう!