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「彼女、ここは彼氏にごちそうになっとかなきゃ! なぁ、兄ちゃん!」
お財布を取り出す私を見て、おじさんはガハハと笑いながら言った。
「あの……」
「いいから」
おじさんから焼きそばを受け取った先輩は、屋台の隣にある簡易食事スペースを顎でクイと差す。
あ、先輩、両手が塞がってるから。
そう思って焼きそばを一つ受け取ろうとしたけれど、先輩は先にスタスタと歩き出してしまった。
「先輩!」
「席取って」
結局先輩に私の分の焼きそばを持たせたまま、私は空いていた席を確保する。
「すみません。ありがとうございます」
「何飲む?」
「え!? いや! あ、そうだ、私買ってきます!」
せめて飲み物くらいと思ったが、先輩は首を横に振り、私を無理やり椅子に座らせた。
「いいから。焼きそばだから、お茶でいい?」
「……はい」
ここで待っているように言って、先輩は飲み物を買いに行ってしまう。
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