(3) はじめての……

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「彼女、ここは彼氏にごちそうになっとかなきゃ! なぁ、兄ちゃん!」  お財布を取り出す私を見て、おじさんはガハハと笑いながら言った。 「あの……」 「いいから」  おじさんから焼きそばを受け取った先輩は、屋台の隣にある簡易食事スペースを顎でクイと差す。  あ、先輩、両手が塞がってるから。  そう思って焼きそばを一つ受け取ろうとしたけれど、先輩は先にスタスタと歩き出してしまった。 「先輩!」 「席取って」  結局先輩に私の分の焼きそばを持たせたまま、私は空いていた席を確保する。 「すみません。ありがとうございます」 「何飲む?」 「え!? いや! あ、そうだ、私買ってきます!」  せめて飲み物くらいと思ったが、先輩は首を横に振り、私を無理やり椅子に座らせた。 「いいから。焼きそばだから、お茶でいい?」 「……はい」  ここで待っているように言って、先輩は飲み物を買いに行ってしまう。
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