(3) はじめての……

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「平井」 「えっ? うわっ! はいぃっ!」 「何慌ててんだよ。お茶」 「あ、ありがとうございます……」  先輩から受け取ったペットボトルのお茶が冷たくて気持ちいい。  これをこのまま頬にくっつけたい。 「暑いか?」 「え?」 「顔赤い」  ぎゃあっ! やっぱりですよね、バレちゃいますよね、この明るさじゃっ! 「いや、えっと、ひ……日に焼けちゃったかなぁっ!? 日焼けすると赤くなるんですよねっ」 「ふぅーん」  幸いそれ以上ツッコまれず、私たちは隣に並んで座り、焼きそばをすすった。 「美味いな」 「屋台の焼きそばってなんでこんなに美味しいんでしょうね!」  浴衣を汚さないように細心の注意を払いながらも、箸はどんどん進む。  先輩を見遣ると、先輩も美味しそうに焼きそばを食べていた。  その表情はいつもより幼く見えて、何だかよけいに可愛いとか思ってしまい、さっきからずっと呼吸困難だ。  誰か私に酸素マスクをクダサイ……!  それから私たちは綿菓子を食べたり、金魚すくいなんかもやってお祭りを存分に堪能した。  私はその間中ずっと呼吸困難のまま。  いつもとは違う先輩の表情にドキドキしっぱなしで、にも関わらず、すごく楽しくて。  ずっとこんな時間が続けばいいのに、なんて思ってしまった。
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