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◆◆◆
「……先輩、どうしたんですか?」
やっと作業が一段落し、私は返却された本を種類ごとにまとめてワゴンに乗せていく。
ある程度本が溜まると、藤沢先輩が書架に返却に行ってくれるのだ。
「何が?」
眉間に皺を寄せたままで素っ気なく返事をする先輩を初めて見た人は、きっと問いかけたことを後悔するだろう。
しかし、私にとってはもう今更だ。
小さく溜息をついて、先輩の眉間を指差した。
「皺ですよ、皺! せっかく眼鏡にしたのに、どうしてまた皺が戻っちゃってるんですか?」
「あー……」
藤沢先輩はやっと気が付いたようで、自分の眉間をゴシゴシと擦る。
先輩……? 擦っても皺は取れません……。
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