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◆◆◆
「え~っと……先輩?」
「何?」
「ホントに私でいいんですか?」
藤沢先輩の話を聞いてから三日後、私は家とは逆方向の電車に乗り、先輩の顔を見上げていた。
私が協力すると約束してから、先輩の眉間の皺はきれいさっぱりなくなっている。
「いいも悪いも、当人なんだからしょうがない」
「はぁ」
先輩の話というのはこういうことだった。
「これまで頑なに医者に行こうとしなかったオレが素直に言うことを聞いたもんだから、親に理由を問い詰められた。仕方ないから平井のことを話したら、ぜひお礼を言いたいから家に連れてこいとうるさい。呆れるほどにうるさい。そしてしつこい」
それはウザ……いや、大変だろう。でも、お礼なんていいのにな。あれは私のエゴでもあったし。
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