始まりの日

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始まりの日

平和とはなんだ。 【ぐあぁっ】 平和とはなんだ。 【このぉ!死ね!死ねぇ!!】 平和とは、なんだ? 【いやだ!死にたくない!死にっ・・が、がっ・・】 オレが生まれる前の世界は、平和だったのだろうか。 瓦礫に埋もれるだけで身動きも取れず、意識も朦朧としていたオレは、軍人達が敵に向かって銃を乱射している光景を眺めていた。 逃げなきゃ、逃げなきゃ、逃げなきゃ。 心の中で何度も叫ぶ。 どうして逃げるのか? 怖いからだ。 見たくないからだ。 死にたくないからだ。 理由はいくらでもある。 しかし、身体動かない。 瓦礫に埋もれていたから。 これなら分かる。 しかし、瓦礫と言ってもたかが知れている大きさの物だった。 少し力強く起き上がれば押し退ける事なんて容易い。 なのにどうしてそうしなかったのか。 絶望してしまったからだ。 この世界に。 オレは、死にたくない。 まだオレは13歳だ。 まだまだこれからの人生を楽しみたい。 でも考えてしまうのだ。 これから生き残ったって、オレは人生を満喫出来るのか?と。 敵に殺されるのではないか? 生きてたって、嫌な物を見たり、痛い目にあったり、怖い目に合うだけなんじゃないのかって。 だからオレは、絶望する。     
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