ACT 1

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        + 「でも確かに、若干の執着さは感じますよ、私も」 松瀬くんの”ジェラッてる疑惑”を私の交代で入ってきた風音(かざね)に話していると、急にどこかの探偵みたいに腕組みをしながら、何故か神妙な顔で答えた。 思わず「誰のマネ?」って言った私に「シャーロックに決まってます! もちろんベネデクト・カンバーバッチですからね!」、答えたけど。 シャーロックってそんなんだっけ? カンバーバッチって腕組んでたっけ? 決まってたっけ?  もやもやしながらも「だって花江さんがお休みのときに出るオープニングで」、繋がる言葉を聞く。 「彼、来たんですけど。自動ドアの前で私と目が合った途端、さっさと帰っちゃいましたからね」 「え、そうなの?」 「そうですよ。だから彼、ドーナツが好きで来てるんじゃないですよ。完全に花江さんの体目的で来てますから」 横目でチラチラっと体を見られ、私はうんざりしながら身を引く。
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