ACT 1

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《今日たまに、ちょっとおかしくて》 「おかしい? 睦月、大丈夫なの?」 《全然、全然。元気は元気。とりあえず昨日、松瀬遙斗が〈真紋(しんもん)〉で《囲って》もくれたから……まあでも、どうなるか分からないけどね》 それ多分、あやかし用だろうな。 大丈夫なのかな、人間用じゃないけど。 心の中で呟きながらも、何となく最後の言葉が投げやりに聞こえた気がして「どうかした?」、聞く。 でも夏帆は《全然、って言うかさ》、言葉を切り替える。 《《セツゲツチュウ》はどうなったの? 松瀬遙斗、《フウカチュウ》でどうにかしてくれた?》 夏帆の言葉に私は「それがね」、また溜息をつく。 「上手くいかないみたい」 ――あれから2回、挑戦してみたけれど。 すぐに弾かれてしまう。 松瀬くんは「悪い」って、すごく考え込んでいたけど。
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