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「吹奏楽部の明日麻くんではないのか?」
松瀬くんに言われて「……そうかも。今日は早いね」、私はベーカーエリアから自動ドアへと足を向ける。
「明日麻くん」
自動ドアを開けると「おはようございます」、いつも通り礼儀正しく頭を下げたあと言葉を繋げる。
「少し早いですけど良いですか?」
小さな笑顔を向けられ私は「全然、いいよ、いいよ」って、店内へと促す。
明日麻くんは駅から二つ目の高校に通う2年生だ。
ーー数日前。
いきなり雨が降ってきて店内に駆け込んできた彼はずぶ濡れで。
タオルと傘を貸してあげたんだけど。
それから毎朝、学校へ行く前にドーナツをテイクアウトしに来てくれるようになった。
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