革命 -revolt-

4/22
3人が本棚に入れています
本棚に追加
/28ページ
 それにベトは、初めて出会った時を彷彿とさせる姿――身を屈め、覗き込むように送る笑みを、送った。 「あんたに……チャンスが、巡ってきたぜ?」 「チャンス、ですか?」 「ああ、世界を変えられるかもしれない、チャンスだ」  アレはベトを見上げたまま、胸に手をやった。  そこに至るのは期待か、不安か、ただの動揺なのか――一瞬だけ思いを巡らせ、ベトは言った。 「軍隊が来てる。あんたの力を見込んでだ。ついていけば、あんたは兵器として戦場に駆り出されるだろう。そしてあんたの力が本当に悪魔のものだと言うなら、たぶんこの戦争こっちが勝つだろう。そうすれば世界は変わるかもな。戦争のために向けていた生産力を国力に回し、人々も自活し、国は豊かになるかもしれない。どうする?」  あまりに端的といえば端的な問いかけ。  そして無知になものには残酷ともいえる説明。  ベト自身、この言葉の意味はわからなかった。  だがこうしなければならない、という衝動にかられてやっていた。  この結果どうなればいい、という意図すらない。  もしついていくなら、厄介払いが出来る。  自分たちの仕事はなくなるかもしれないが、祖国を捨てればことたりる。  戦争なんてどこにでもある。  逆に残るというなら、それはそれで面白くなるかもしれない。  逆賊として狙われ、この力がどこまで通じるか、自分とどこで野垂れ死ぬか。どの道まともな道は残されないだろう。
/28ページ

最初のコメントを投稿しよう!