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「でも、お話は出来ると思います」
「できねぇよっ! 薄汚ねぇひと殺しのおれたちに、毛が生えた様な連中だぞ?」
「でもベトたちは話を聞いてくれました」
「ッ……き、気の迷いだ! そんなもん、他の連中にまで期待すんじゃねぇ!」
「でもやらないと」
「やるやらないの問題じゃねぇ、できねぇっつってんだ! 理屈で考えろ、頭で理解しろ! 出来ないって、無理だってわかってっから誰もやんねぇんだろうが!」
「でもやらないと、世界を変えられないから」
「夢見てんじゃねぇ!」
ベトはついに爆発し、アレの胸倉を掴み、引っ張り上げた。
それにアレは、抵抗しない。
その瞳は怯えもなく、真っ直ぐにベトを見つめていた。
むしろ吼えているベトの方が、その純粋な瞳に怯んでいた。
「ッ……わかってねぇわかってねぇわかってねぇわかってねぇッ! あんたなンにもわかってねぇわッ! 世の中ってのは、あんたが思うほどみんな優しくねぇ! できねぇもんはできねぇし、世の中諦めなくちゃ――」
「――――」
「……あんた、」
言葉が、続けられなかった。
もう、その瞳がすべてを物語っていた。
「……どうしても、行くのか?」
「はい」
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