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スバルの言葉を抑え、ベトは歩み出た。
既に建物の周りには、人垣が出来ていた。
19人の仲間たちが勢ぞろいして、こちらを見守っていた。
その中には熱血漢のレックスも、お高い弓姫のマテロフもいた。
その誰もがみんな、表情に動揺と、瞳に心配の色を湛えていた。
まったく、どいつもこいつも傭兵をやるにはお人よし過ぎンだよな。
ベトは頭をボリボリかきながら、その人垣を割っていく。
後ろではアレが両手を前で組み頭をペコペコ下げながらついてきている。
これから国軍とやり合おうって女の行動じゃねぇよな、これも。
「ベト」
スバルが、隣で声をかけてくる。
それにベトは立ち止らず視線も送らず、
「……世話になった。もう会うこともないだろう。出来れば、長生きしてくれや」
一瞬息のつまったスバルだったが、
「……わしの息子にしちゃあ、上出来な門出よ。だが――」
最後に、右手を両手でわしづかみにされた。
それにベトは正直驚き、視線をよこし、
「――死ぬな」
初めて、見た。
スバルのそんな、必死な表情。
だから結局、ベトはなんと答えてよいかわからず、
「……あ、ああ」
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