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その声に割り込んだのは、いわずもがなスバルだった。
その姿は泥と血と汗にまみれ、酷いものだった。
鎧もあちこち陥没し、出血もある。だがこれでも仲間の中では被害は低い方だった。
呻き、倒れている仲間たちは半数以上、三分の二に及んでいる。
残りも痛むか所を押さえて、息を整えるので精いっぱいという感じだ。
こうしてまともに会話に参加できるのは、僅かに4人に過ぎなかった。
「ああ、本気だ。ていうか本気で、頭のネジが外れたらしい。だいたいがこんな魔女(やくびょうがみ)を連れてきた時点で、年貢の納め時だったんだろう。こうなりゃいくとこまでイクだけだな」
「……アレは、どう考えている?」
マテロフが尋ねる。
手元には愛弓。
彼女のまたあちこちに擦過傷を抱えていたが、長距離狙撃手という職業柄重傷は免れていた。
アレはマテロフの問いかけに、やはり笑みで返した。
「ベトを、信じます」
言葉が変わっていた。
そこにはハッキリとした意思があった。
出来る出来ないじゃない。
ベトがいれば大丈夫、と。
そこにはマテロフ――というよりも他人では計り知れない信頼関係がはっきりと見て取れた。
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