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あえていえば、彼女に聞いてしまいたかった。
他人任せだった人生と、こうして自分で選びとっている人生のどちらが幸せかと。
それが出来ない自分に、結局は不自由さを感じるしかなかったが。
「……きたか。思ったよりも早か――いや、予想通りか」
それはあくまで希望的観測を含む予定日数だ。
事実はこの通り。
ベトは普段よりも二時間は早く目覚めた原因――窓の外へと、寝ぼけ眼を向ける。
「……これはこれは朝から、団体さんのご到着で」
口元に、笑みが作られる。
そこには絢爛豪華な飾りつけがされた白馬黒馬なかには茶馬に乗ったこれまた豪奢無欠な鎧を着込んだ騎士様たちの大名行列だった。
その数ざっと見ても、50はいる。
戦闘でもないのに、大仰しいことこのうえなしだった。
おかげで朝から飯の準備をしてた仲間たち4名が右往左往して怯えている。
戦況は、拮抗している。
実際どんな与太話だろうと、戦力になると聞けば下にも置かぬおもてなしで有無を言わさぬ連行を迫り、馬畜生以下の扱いで駆り出されるのだろう。
「胸糞わりぃ」
ベトは呟き、手早く装備を整えて、ドアに向かう。
相手がきちんと身なりを整えている以上、こちらもそれなりの支度が必要だろう。
そして下で未だ寝転げている同居人に、
「おい……おい、あんた」
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