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きみがすき。
初めて君と眼が合った。
初めて君と喋った。
初めて君と手を繋いだ。
僕は初めて、恋に落ちた。君と。
落ちる、という表現は良くあるけれど、僕は落ちる、という表現にずっと納得がいっていなかった。
だって、落ちるのは怖いから。
素敵なはずである恋は、そんな怖い筈がないと思っていたから。
僕は恋を知らなかった。
それを、君は教えてくれたんだ。
まさしく、落ちた。
僕は不思議の国の彼女のように、君という柔らかい穴に真っ逆様だった。
ちょっぴりの怖さもあったけれど、足がふわふわとした浮遊感、どっちが上で下なのかもわからない。
まさしく、落下だった。
ああ。こういうことか。といつだったかとても納得がいった午後があったのを今でも覚えてる。
君の話をする。
君の目はとても澄んでいて、見つめられるとまぶしくって、くすぐったかった。
君の声はとても透き通っていて、朝の鳥のさえずりのように美しい調べのようだった。
君の手は柔らかく、暖かくて触れると天にも昇るような気持ちになれた。
君は特別な存在だ。僕にとって。君にとって僕がそうであるように。
君にそれを言ったことはない。
だって、君はとてもくすぐったがりだから。
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