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当時も中肉中背だった私ですが、二学期の最後に、一度だけ佐伯君の隣になれました。常に、一番目に、彼の名前を書き続けた私の熱意が伝わったんだと思います。年賀状も出したんですが、佐伯君からの年賀状はお正月が過ぎてからでした。年賀状が来たから、一応は出しておいたという感じでした。私がぽっちゃりさんなら、扱いも違っていたかもしれません。
ところで、ライバルがいます。佐伯君をめぐってのライバルです。それは、同じクラスの高橋さんです。彼女は、女子剣道部の主将でした。健康的なぽっちゃりさんです。練習前後に佐伯君と仲良さげに話しているのを何度も見ました。女子剣道部は、部活に出ている部員が少ない時、男子剣道部に混ざって練習しているので、自然と距離が縮まります。悔しい。私も佐伯君と籠手を嗅ぎ合って、キャーキャー言ってみたかった。
高橋さんは、クラスの微妙な人間関係を全く気にしない頼もしい人ですが、佐伯君を譲ることは出来ません。
私の計画としては、バレンタインデーまでにぽっちゃりさんになって、チョコを渡して佐伯君に告白します。でも、その時点での佐伯君の反応は気にしません。彼の志望校は分かっています。私も同じところを目指しています。ですから、先ず、私の気持ちを知ってもらえればそれでいいんです。本当の勝負は、高校生になってからです。高橋さんを気に掛けつつ、高校生になってからのことを考えて行動します。
夏休みの間、私は、ひたすらにそうめんひやむぎ呑み続け、夜食でおにぎりを食べました。秋冬は、家での食事にカレーライスやだんご汁が出た時は、必ず山盛りでおかわりしましたし、相変わらず夜食でおにぎりを食べ続けました。私、頑張りました。
年が明けて二月上旬。
クラスの男子に、
「最近、一万田って圧が凄ぇよな。近寄れねぇわ」
と、言われるまでになりました。
……。
えぇと? これって、正解なんでしょうか?
正解――なんでしょうか?
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