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――果たして天然なのか、はぐらかされたのか。
智雪の真意は今ひとつ掴みきれない。が、どっちにしても、もうさっきみたいな肩透かしは御免だった。野上は今度こそは・・・と、一番最初に聞きたかったことをそのままズバリと口にした。
「捜してる人がいるって・・・アレ、ほんとに本気のマジやったんや」
野上の、真剣きった問いかけを驚きの中で受け止めながら、智雪の心のどこかが思った。
・・・ああ。やっぱり、と。
相手こそ違え、すでに幾度目になるだろう。同じ場所で聞いた同じ言葉に、智雪は知らずつい微笑んでしまう。
気になっていたのか、心配してくれていたのか。はたまた信じていなかったのか、信じられなかったのか。
どちらにせよその問いを投げかけられる度、智雪はどうにもくすぐったい。自分としては当たり前だったつもりの行動が、ひょっとして周囲の人の目にはどこか違って、奇異に映っていたのだろうか、と。
智雪は両手で頬杖をつき、野上と同じポーズをとってみる。
「勿論ほんと。嘘は言わないよ。自分に正直にってのが俺のポリシーだからね」
「じゃないと、見つかるもんも見つけられへん・・・?」
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