1:ケーキ! ケーキ! ケーキ!

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「私は願いを叶える為に、この図書館に来たんです」 「願いを叶える為?」 「此処(ここ)は、願いが叶う図書館なんですよね?」  一体何の話だろう。せあらは(ジン)の横顔を見た。神はますます機嫌を損ねているようだった。鉄太さん夫婦も不思議そうにしている。 「誰かにそうやって聞いて来たの?」 「はい。この図書館に通うと、願いが叶うって」 「誰に?」 「……多分、仕事の仲間です」  唯衣子は自信がなさそうに答える。誰に聞いたか、はっきりとは憶えていないのだろう。 「そうなのか?」  鉄太さんが神に訊ねる。神は鬱陶(うっとう)しげに、 「さあな」  と、短く答える。  しかしそんなご利益があっても、おかしくはないのかも識れない、と、せあらは思った。  するとすぐに、神がせあらに顔を向けて、 「ある訳がないだろう」 「……ご、」  ごめんなさい、と、せあらは頸をすくめた。
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